前回のおさらい
マスク換気がうまくできないとき、まずは下顎挙上と頭部後屈をし直して、経口エアウェイの挿入や二人法を行いましょうと書きました。それでもうまくいかないとき、端的に言えば緊急事態です。ここからは状況によって少し変わってきます。
step3:人を集め、ただちに1度挿管を試みよう。
選択肢は挿管する、声門上器具を入れる、患者さんを覚醒させる、の3つです。延期が可能な手術であればスガマデクスを16mg/kg投与して筋弛緩をリバースすることもありだと思います(それでもリバースには3分くらいかかります。)。なにより手が足りないので人を集めましょう。挿管をトライしつつ(近くにあれば声門上器具を挿入)、人を集め、挿管困難カートを持ってきてもらい、スガマデクスを吸ってもらったり、次のstepの気管穿刺の準備をしましょう。やることが沢山ですね汗。なるべくそうならないように換気困難の予測をして準備しておくというのが大切だと分かってきますよね。
step4:輪状甲状軟骨穿刺
どうにもこうにも気道が通せないときは輪状甲状軟骨穿刺です。詳しくはクイックトラックと検索してみてください。最近は穿刺だと血などで酸素が結局送れなかったりするので輪状甲状間膜を切開してしまった方がいいという意見もあるようです。ERだとやるしかないときはあるかもしれませんね。気管切開の経験のある外科医を呼べるなら呼ぶことも大事ですね。
なによりも準備が大切!
やっぱりここまで至らなくて済むように準備し、安全マージンを稼いでおくのが無難なのではないでしょうか。そのための換気困難の予測、麻酔器の準備、スタッフどの情報共有、挿管困難カートの準備、前酸素化、気管切開できる耳鼻科医のスタンバイといった準備が一番大事です。