リカバリーや急変時の呼吸管理2

気道

具体例1:フェンタニルによる呼吸抑制

持続フェンタニルを使用してしっかりと鎮痛できたときが逆に注意です。移動中にマスクの曇り具合で呼吸数を確認しつつ、曇らない時は声をかけて自発呼吸を促しましょう。フェンタニルが効いているとやや縮瞳します。フレイルや認知症、睡眠時無呼吸症候群ではフェンタニルが効きやすいです。

具体例2:再クラーレ

TOFモニターを使用して適正なスガマデクス(商品名ブリディオン)でリバースすれば安全ですが、リバースの量が足りないと抜管時は良いもののちょうど帰室するくらい(リバースから20分後)に再クラーレといって体内の残存ロクロニウムが血中に戻り効果を発揮してしまうことがあります。簡単にいえば舌根沈下して気道が保てなくなり、ひどいと横隔膜の動きも悪くなります。気道確保しつつ、バッグバルブマスクで補助換気をしましょう。うまく補助換気ができない、または補助換気しつづけなければならないときは再挿管が必要です。

具体例3:アナフィラキシー

これはとくにスガマデクス(ブリディオン)に伴うことが多いです。厳密には遅発性もありうるので、それまでに使用した全ての薬剤が被疑薬となります。症状はショックがメインのこともありますし、Strider(吸気の喘鳴)やWheezes(呼気のヒューヒュー)などの気道がメインのこともあります。筆者の場合ははどちらも起きました。帰室時にSPO2や血圧が測定不能な場合は、待つのではなくすぐに脈を触り意識レベルを確認しましょう。酸素をリザーバー10Lに上げつつ、ショックであればアドレナリン0.3mg(1/3筒)筋注です。人を集めましょう。

具体例4:喘息発作

普通の呼吸ではWheezesを聴取しなくても深呼吸で聴取する場合があり、つまりうまく聞こえなくても喘息既往があれば喘息発作を疑ってください。SPO2:93%以上を目標にまずは吸入酸素濃度を上げ、メプチンを吸入してもらいましょう。全然呼吸できないときはアドレナリン0.3mg皮下注(なぜか呼吸器学会は皮下注と書いてます、理由は調べてもわかりませんでした。)です。根本治療のためにステロイドも投与していきましょう。

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